民法896条で
「相続人は、被相続人の財産に属した一切の権利義務を承継する」
と規定されています。
相続とは、被相続人の財産的地位を引き継ぐことをいいます。
あくまで財産上です。
ところで、
「相続」という言葉は、
もとは、インド・サンスクリット語の漢訳語。仏教用語です。
「因果が連続して絶えないこと」という意味です。
そしてその連続は、
諸行無常(絶えず移ろい、変化し続けていく)であり、
諸行無我(すべては繋がり、また変化している)です。
「相」は「すがた(姿)」を意味し、存在そのもの、
「続」は、続いていくことです。
それが派生して、
「相続」とは故人の存在、在り方を
代々変化しながれも連続させる(引継ぐ)こと。
という意味になりました。
親が亡くなりその存在、想い、すべてを子が引き継ぐ、
子が亡くなり、孫がすべてを子が引き継ぐ、
そして全く同じものはなく、すこしずつ変化をしながら、
一家族としては一本の線として連続してずっと続いていく。
ということでしょうか。
現代の法律用語では、
冒頭のとおり「被相続の財産を引継ぐ」
となっておりますが、
故人の想いを引き継ぐのも相続
と考えてみるのも時にはいいかもしれませんね。
司法書士田中康雅事務所