司法書士田中康雅事務所

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遺産分割協議の難しさは、法律上の行為に身内のそれぞれの感情や想いが複雑にからみあってくるところだと思います。

相続財産に関し、相続人の相続分は条文で最初から決まっています。
最終的に遺産分割協議が不調におわり、調停もダメだった場合、
遺産分割の審判となります。
審判になったら「相続財産 × 法定相続分」が相続人が承継すべき財産価格になります。
あとは、裁判所が民法906条に従い「遺産に属する物又は権利の種類及び性質、各相続人の年齢、職業、
心身の状態及び生活の状況その他一切の事情を考慮して」決めます。
審判になる前だったら、
遺産分割協議で一切を考慮して決めたのだから、法定相続分にどおりにならなくても有効。

簡単に書くと、
遺産分割協議ではいっさいを考慮してご自由に決めていいですよ。
でも相続人全員の合意が必要です。
審判になったら、法定相続分になり、かつどこを取得するかも裁判所が決めます。
このような感じです。

実際に問題になるのは、
遺産分割の対象にするかどうか
・あのときもらった財産は・・・・の特別受益問題
・あの時の介護は・・・・・・・・の寄与分問題
・生前にお金おろしてますよね・・の不当利得?問題

次に価格の問題
・この不動産いくら・・・・・・・の時価、評価額問題

最近はどこを取得するかという問題は薄れてきているような気がしております。
ポイントは自分の相続分はどれくらい

相続法の改正により、2019年7月1日から新たに加わる特別寄与料問題
これは相続人以外の者の貢献を考慮する制度です。
被相続人の親族(相続人以外)が、
被相続人に対して無償で療養看護その他の労務の提供をしたことにより
被相続人の財産の維持又は増加について特別の寄与をした場合
相続の開始後,相続人に対し,特別寄与者の寄与に応じ多額の金銭(特別寄与料)を請求することができます。

たとえは、、
長男の奥さんの長年の献身的な無償の介護がなかったら、財産的負担が生じる老人施設に入らなければならなかった等の場合に
長男の奥さんは、遺産分割協議には参加できませんが、相続人に対し一定の金銭(特別寄与料)の請求ができます。

昔は相続は家督相続、長男全部
戦後も、法律均分相続、ハンコ押しての家督相続
ついこの間までのハンコ代いくらと言っていた代償分割は今は昔。
現在では法律も心も均分相続。
そして、ついに、相続人以外にも請求権が・・・・。

私個人としては、介護の大変さは十分わかっていますので、
特別寄与料を話し合いで認めてほしいのですが、
相続人の皆さんの中には納得されない方も多いかもしれません。
時代の流れと相続人の方々の意識の変化を待ちたいところです。

話を戻しますが、
原則は相続人が相続します(上記のように親族に一定の請求権はありますが)。
民法896条本文
相続人は、相続開始から被相続人の財産に属した一切の権利義務を承継する

ただ、あくまで相続するのは、民法上の相続財産です。

介護したした人としない人
同居した人としない人
面倒を見てもらわれた人とそうでない人
かわいがられた人といない人

相続財産に対する相続分は基本的にいっしょ。
客観的にみたって公平でないのが相続
みんながすべて納得できないのが相続

もめているのがやむを得ないことだってあります。
譲れないこと、守らなければいけない時もあるでしょう。

争う続けるのか(争続)
想い続けるのか(想続)
家族を想うのか(想族)

相続にはいろいろな字が使われます。

それらを含めて、
故人そのものを受け入れるのが 「相(すがた)続

そんな気がしています。

円満相続とはならなかった。
それはそれで仕方ない。と思いましょう。
みなさんのせいではないかもしれません。

でも、みなさんの番になったとき、
今度相続人が何を受け継ぐかというと
それは、みなさんの「スガタ」。
だったりします。

おかげさまで、
最近、ご依頼が2回目となるご依頼者さんが増えてきました。

遺言も大事。相続対策も大事
そして〇〇も大事。

その〇〇をその方ごとに見つけられるよう、
ご依頼者さんとコミュニケーションしながら
相続手続きをすすめていきたいと思っています。

日頃の相続に対してのお話などは、こちらのブログをご覧ください
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